[惜別]大阪市営地下鉄の民営化がまもなく正式決定されます

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大阪市営地下鉄の民営化がまもなく正式決定されます。2017年3月28日開催の大阪市会(市議会)において、地下鉄事業を2018年に廃止する議案が可決される見込みとなっています。

大阪市営地下鉄、民営化へ 公営で全国初

大阪市営地下鉄の民営化を巡り、自民党市議団は23日、市が提案していた地下鉄事業の廃止議案へ賛成することを決めた。28日の市議会で3分の2以上の賛成となる見込みで、全国で初めて公営地下鉄の民営化が実現する。市は100%出資する新会社に事業を引き継ぎ、2018年4月に民営化する方針だ。2015年度の営業収益は1561億円。

これまで大阪市会では与党である大阪維新と公明が民営化推進の立場をとり、野党である自民や共産などが市営地下鉄の民営化に反対してきました。

(出典:日本経済新聞 2017/3/23 19:27)

しかし、自民側が求めていた「民営化後も新会社の全株式を大阪市が保有する」という条件を吉村市長が受け入れることを表明した(昨年9月)ことや、バス事業などに充てる基金を設立することを表明したことに加え、民営化後も地方交付税による支援をおこなうことを国が確約したことなどにより、このほど自民が賛成に回ることとなりました。

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これにより、2018年4月をめどに大阪市営地下鉄は民営化されることとなります。但し、新たに設立する新会社の全株式を大阪市が持つということで、当初は完全民営化ではない形での民営化ということになります。

公営地下鉄の民営化は全国初

大阪市営地下鉄の民営化は、公営地下鉄の民営化として全国初のケースとなります。地下鉄の民営化といえば、東京メトロ(東京地下鉄株式会社)を連想しますが、東京メトロの前身である営団地下鉄(帝都高速度交通営団)は、文字通り「営団」(官民協力による特殊法人)が運営していたものです。そのため、公営地下鉄の民営化は、今回の大阪市の事例が初めてとなります。ちなみに、東京メトロも完全な意味での民営化ではなく、現在も株式は政府が53.4%、残りを東京都が保有しています。

1903年9月12日に大阪市工務課(現・大阪市交通局)により営業を開始した大阪市電を皮切りに、1927年の市営バス開業、1933年の地下鉄開業、そして1981年の新交通システム開業等々、これまで大阪市が展開してきた様々な公営交通事業は、大きな転換点を迎えることとなります。

いずれは完全民営化されるのだろうけれども…

84年6か月余りもの長きにわたり、市民の足として親しまれた大阪市営地下鉄の民営化によって今後懸念されるのが、民営化には付き物の不採算事業の縮小あるいは廃止が進まないかという点です。

大阪市営地下鉄は、ドル箱路線である御堂筋線を筆頭に、谷町線・中央線・堺筋線・四つ橋線が黒字路線となっています。一方で、今里筋線を筆頭に長堀・鶴見緑地線・千日前線・南港ポートタウン線(ニュートラム)が赤字路線となっています。

また、大阪市営地下鉄を運営する大阪市交通局はバス事業もおこなっていますが、不採算路線の廃止や縮小が相次いでいます。バス事業は、地下鉄事業民営化によって設立される新会社の下に位置するバス事業を担う子会社が担う見込みです(現在は大阪市交通局100%出資の外郭団体「大阪シティバス」が市バス運行の一部委託を受けていますが、民営化によって大阪シティバスは地下鉄を運行する新会社に譲渡され、子会社になる予定です)。現行の路線や運賃、便数が維持されるのは民営化後5年程度とみられています。市長は地下鉄事業・バス事業ともに完全民営化を目指す意向であり、完全民営化された後には民間企業として利益追求・不採算事業の見直しが進むものと考えられます。

交通弱者・生活弱者の切り捨てにならぬようにしてもらいたい

あらゆる事業には多かれ少なかれ採算性が考慮されるものです。但し、行政あるいは公営事業の場合は、相互扶助の精神に基づき、強きが弱きを助け、持てる者が持たざる者を助けるという考え方が求められます。そのため、利用者がいる限りは、赤字の鉄道路線やバス路線であっても、黒字の路線から不足分を補填し事業を継続しようとします(もちろん、支えきれなくなって事業そのものが倒れてしまう可能性もはらみますので、あくまでも程度問題ですが)。

一方、民営化あるいは完全民営化により、この考え方が薄れてしまうことで、交通弱者・生活弱者へのしわ寄せがくることのないようにしてもらいたいものです。

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