[レポート]南海本線樽井~尾崎が11/1に指導通信式閉塞で運行再開

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南海本線の利用者、とりわけ大阪南部方面からの日々のアクセスを必要とする沿線住民にとって、待ちに待った運転再開です。2017年11月1日、台風21号による大雨で男里川(おのさとがわ)橋梁が損傷し不通となっていた南海本線の樽井駅~尾崎駅の区間が仮復旧し、同日の始発から上り線を使った単線方式にて運行を再開しました。

再開初日は「指導通信式閉塞」による単線運転にて運行

再開初日となった11月1日は、単線区間の閉塞方式として「指導通信式閉塞」が用いられました。

指導通信式閉塞とはどういうものかについて、下記のウェブサイトに鉄道運転規則をもとにして簡潔に解説がなされています。

まずこの指導指令式や指導通信式を施行する時というのは、

・複線区間のうち1線が使えない時
・タブレット閉塞、票券閉塞が装置の故障などにより施行できなくなった時
・その他必要な時

などです。そして、この閉塞を実施する時は、赤い腕章をつけた指導者、指導通信式の時は 両駅を結ぶ電話機、指導指令式の時は列車が本線上にあるか確認する装置と無線など列車や駅に指示する装置を用意します。ここから先は票券閉塞とほぼ同じで、列車に指導者が乗り込むか、指導者が渡した指導券を持っていないと運転できません。どちらに列車を運転するかの打ち合わせは、指導通信式の場合は各駅で閉塞の取り扱いをし、指導指令式の場合は全て運転指令から指示します。

また、どちらの場合でも共通ですが、複線の1線が使えなくて指導通信式や指導指令式にした場合、自動閉塞の装置が動いていれば複線の時と同じ向きに進む列車は(指導券はいりますが)自動閉塞と 併用できます。

 

出典:インターネットの片隅で…

http://www.geocities.jp/jkr_2255/railway/block/sidou1.htm

運行再開当日、当ブログの管理人は前日から尾崎駅近くのコインパーキングで車中泊しまして、午前4時半頃に車から出て駅に向かいました。

そして、まだ真っ暗な尾崎駅にて隣の樽井駅までの切符を買って自動改札機を通り、寒くてめっきり近くなった小用をトイレで済ませ(下世話ですね、すみません)、まだ電車が到着していない駅でビデオカメラを回しました。

まだ始発前なのでガランとした改札前

運転再開後の最初の営業運転となる一番電車は、和歌山市方面から来る、上り区間急行なんば行。尾崎駅を5:27に発車予定です

営業再開後の一番電車の前には、下り回送電車が5:11に発車予定

そして、先に来るはずの下り回送電車は定刻を過ぎても未到着で、上り始発電車の区間急行が先に到着しました

下り回送電車は、樽井駅出発時の安全確認に時間を要したため、到着が遅れたようです。実際、上り線を逆走状態になりますし、ATS(自動列車停止装置)を一時的に開放(オフ)して走行する形となりました。

運行再開初日は、普段使用している電気的な閉塞(線路を区間で区切り、その区間には後続列車が入ってこれないようにすることで追突事故を防ぐバリアのような仕組み)に代えて「指導通信式閉塞」が用いられました。これは上記ウェブサイトで解説されている通りですが、単線区間を通る際に、対向列車との正面衝突事故等を防ぐために、指導券あるいは指導者、および運転通告券を設定し、それに則って安全に留意しながら運行するものです。実際、上り線においては、通常の電気的な出発信号機の現示に従って尾崎駅を発車する形での運用がおこなわれましたが、下り線においては、「代用手信号」による運行がおこなわれ、樽井駅の助役が手信号で発車合図を発しておられました。上り線においても、発車時の合図は行われましたが、信号現示に従って発車するように運転士に指示を出しておられました。

 

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当日の始発から9時ごろまで、駅ホームにて、あるいは実際に列車に乗車して映像を撮影しました。当日の運行のようすは、下記の一連の動画をご覧いただければ幸いです。運行のようすは7本の動画で順番に時系列編集してありますので、1本ずつバラバラの動画に比べますと、単線列車行き違い待ちなどを含む運行の流れを把握しやすくなっていると思います

(追記)上り始発列車および下り始発列車ともに、振り返って考えてみますと、先頭車両に乗って撮影させてもらっていたのは私だけだったよなぁということに気づきました。カッコつけたミーハー(もはや死語ですね)な言い方をすれば「独占映像」「始発唯一の車内記録動画」ということになりますね。

上り始発列車の乗車記録映像(運行再開後の一番電車)

下り始発電車の乗車記録映像

※訂正箇所あり:上記動画の10:24辺りに表記した「 下り列車」を「上り列車」に訂正します

尾崎駅での単線区間列車行き違い映像

樽井駅での単線区間列車行き違い映像(代用手信号による運用)

樽井駅から尾崎駅まで下り線電車での前面展望

男里川橋梁を通過する上下線の電車および復旧工事&自動閉塞化工事

指導通信式閉塞での運転士への運転通告の場面

 

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運行再開初日に復旧区間に乗った印象

単線方式で、なおかつ指導通信式閉塞を用いて運転再開に漕ぎつけた初日(11/1)は、ダイヤに最大で約30分程度の遅れが生じ、駅での発車待ちあるいは駅間停止の列車が発生、混雑した車内に乗客が立ちっぱなしとなった列車もあることから、乗客が駅員に苦情を言う場面も一部にみられました。ただ、私の見た範囲では、乗客が怒鳴り散らすといった場面はなかったです。

また、列車到着を待つ乗客でホーム上が混雑した場面もみられましたが、ラッシュ時間帯には箱作駅から泉佐野駅までの代行バスの運行がなされることがアナウンスされていたためか、代行バスを利用した乗客も相当数いるとみられます。樽井駅では、発車待ちあるいは列車到着待ちの乗客が、駅ホームでのアナウンスで泉佐野駅直通の代行バスの存在を知り、駅員に尋ねたり、出口に向かう階段のほうに歩く姿も見受けられました。

運行再開後も代行バスを用意した効果も手伝ってのものだと思いますが、到着する列車あるいは発車していく電車を見た限りでは、ラッシュ時間帯で混雑しているのは確かなのですが、すし詰めでごった返しているという印象は受けませんでした。

遅延発生の理由としては、ATS開放を伴う上り線逆走での運転につき安全確認に万全を期すため、あるいは当日の踏切の挙動が通常時とは異なる変則的なものとなったため、遮断機の閉鎖時間が長くなったことも理由に挙げられます。具体的には、下り線の列車が樽井駅を発車してから、区間内の踏切が一斉に作動し、しかも通常の走行方向とは逆向きになることから、列車が踏切を通過した後も踏切が作動した状態(遮断状態)となったため、踏切の閉鎖時間が長引く結果となりました。私の確認したケースでは11分ほど警報音が鳴りっぱなしになった場面もありました。区間内のすべての踏切に保安係員を配置しているものの、踏切作動中に歩行者が遮断機をくぐるケースもみられ、そういった場合は踏切上に問題はないか、より慎重な安全確認をおこない、その結果として運行に遅れが生じるということにもなります。

また、下り始発列車に乗った際には、代用手信号による運用やATS開放措置も伴っており、発車直後に運転台のATS関係の表示に違和感を覚えたためとみられる一時停止(自動停止ではない)がありました。その際には、1両目の客室前方に同乗されていたベテラン運転士と思しき方々が助言する場面もみられました。下記動画の5:02の辺りです。

加えて、単線運転による行き違いがあるため運転本数が非常に少ないことや、運行遅延が発生している点を考慮したのだと思いますが、発車時に扉が閉まる旨をアナウンスした後も、これから乗ろうとしている乗客をひたすら待つ光景(終電でおなじみの光景ですね)がみられました。この電車を逃すと次の電車まで相当待つ必要があることへの、南海さんなりの配慮ですね。下記動画の2:58の辺りからをご覧ください。扉締めをアナウンスしてからもお客さんが断続的に乗車し、実際に扉を締めるまで1分40秒ほども待っているのがわかります。

一方で、タバコを吸えないことに苛立った初老の男性乗客が、ホーム先端にやってきてタバコを吸い始め、それを見て駅員がタバコを消すように丁重にお願いしたのですが、「こういうときやからしゃあないやろ」「迷惑にならんように端に来て吸ってんねん」と言って聞き入れませんでした。しばらくすると、そのツレの男性もやってきて2名でぷ~かぷか。まぁ、持参の携帯灰皿に吸い殻を捨てていたのはマシだと思いましたが…。

 

尾崎駅北側の踏切でテレビ局のクルーが撮影していました 

樽井駅では鉄道代行バスが引き続き運行されていました

11月2日からは「単線自動閉塞式」に移行し、定刻到着に喜びの声も!

なお、この指導通信式閉塞や代用手信号による運用は、11月1日の1日限りで終了し、翌日の11月2日からは尾崎駅の出発信号機、および樽井駅の本来の上り線ホームの終端(南側・尾崎側)に設置された出発信号機の現示に従って出発し単線運行する「単線自動閉塞式」での運用に改められました。これにより、11月2日の朝の運行時に「定刻通りに到着した」という利用者の喜びの声がTwitterに投稿されているのが確認できます。

運行再開初日は利用者も南海電鉄の関係者も大変な思いをされましたが、関係者の努力によって翌日には自動閉塞化され喜ばしい限りです。現場で奮闘された全ての関係者の皆様に敬意を表したいと思います。あわせまして、運行再開の初日という大変な状況下において、怪しいオッサンが撮影でうろうろする格好となり申し訳ございませんでした。

今後、南海電鉄では、男里川橋梁の下り線の橋脚や橋桁、軌道等の修理を急ぐこととなりますが、当該区間の下り線の復旧には1か月程度掛かるとアナウンスされています。利用者にとってはしばらく不便が続きますが、全面復旧と工事の安全を願っております。

最後に余談ですが、単なる私の想像を貼らせていただきます。

南海本線不通区間(樽井~尾崎)仮復旧で「終端駅」が9日ぶりに解消

南海本線の不通区間(樽井駅~尾崎駅)が単線方式で運行再開の見込み

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