世界的ジャズトランペット奏者の日野皓正が中学生に暴力を振るった件の雑感

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世界的ジャズトランペット奏者の日野皓正が、コンサートイベントの最中に、男子中学生に暴力を振るったと週刊新潮が報じています。

中学生の髪を鷲掴みにしたり往復ビンタを加えたり

これは、東京都世田谷区における「せたがやこどもプロジェクト2017」の一環として、毎年8月に行われているイベントで、音楽や演劇などのステージパフォーマンスやワークショップなど多彩な内容となっています。

このうち、2017年8月20日に開催された、日野皓正らミュージシャンと世田谷区の中学生によるコラボレーションでおこなう音楽ステージイベント「Dream Jazz Band 13th Annual Concert」で「事件」は起きました。

ソロ演奏をなかなかやめない中学生ドラム奏者に対し、日野皓正が演奏用具(スティック)を放り投げたり、髪を鷲掴みにして往復ビンタしたりする様子が動画に記録されています。

 

 

恐らく、ドラム奏者である当該中学生による問題のシーンでの演奏は、ステージの円滑な進行を乱す行為だった可能性があります。その点は生徒側に非があるでしょう。

でも、どういう事情であれ、それを咎めるため、あるいは中止させるためであっても、日野皓正が演奏用具を放り投げたり、暴力を振るったりしたのは論外です。

この件に対して、「世界的ミュージシャンを怒らせたのだから、中学生の態度が余程悪かったんだ」というような言説をネット上でちらほら見かけますが、ピント外れです。

世田谷区教育委員会の姿勢に疑問

週刊新潮によると、今回の問題を受けて、世田谷区教育委員会は

〈日野氏の事務所とは、今後も事業を実施するために話し合う機会をもつ予定です〉

出典:週刊新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/08301710/?all=1&page=1

という意向のようです。ただ、私は、世田谷区教育委員会の姿勢は甘いと思います。

特に、気になるのは、保坂展人世田谷区長の姿勢です。

保坂展人区長は「今後は改めていただくようお伝えしている。注意を受けたお子さんの保護者からも『日野さんには感謝している。やめてほしくない』とも伺っている」とコメントした。保坂氏もコンサート会場にいたが、暴行の場面は中座していたため見ていなかったと説明している。

出典:朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASK8Z6K2CK8ZUULB007.html

保坂区長は「改めていただくようお伝えしている」とコメントしたようですが、改めるも何も、区が関わった教育関連行事で発生した暴力行為に対するコメントとしては甘すぎると思います。当事者意識が感じられない、どこか気の抜けたようなコメントだと思います。

いまや教師が生徒に暴力を振るったら「体罰」として厳しい処分に問われる時代です。今回と同じ行為を、もしも学校の教師がおこなっていたらどうでしょうか。体罰教師・暴力教師として処分されることになるでしょう。

今回のイベントは、中学生のいわば校外授業として行われた音楽行事で、日野皓正は言わば「先生」のようなものです。その先生たる日野皓正が暴力を振るったわけです。この場合、事業継続を前提とした「話し合う機会をもつ予定」などという生ぬるい対応ではなく、すぐに暴力行為に対する厳しい批判なり抗議の意思を日野皓正に対して表明すべきだろうと思います。

 

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体罰でない対話による指導を模索する教師にとってダブスタだろう

学校の先生の中には、モンスターな生徒や親の態度に手を焼いている人もいます。昔であれば、すぐに教師が生徒や児童を殴って力づくで黙らせるのが半ば常識でした。でも今はそれが許される時代ではありません。ときに教師は手が出そうになるのをグッとこらえながら、体罰ではなく対話による指導を模索しているのです。

そういう中で、暴力を振るう指導という時代錯誤的な行為、しかも衆人環視のもとでおこなった日野皓正に対して、教育委員会が毅然とした態度を示さないのであれば、現場の教師にとってはダブルスタンダードに映るのではないかと危惧します。少なくとも私が教師であれば、「俺たちには体罰は絶対禁止と言いながら、外部の指導員ならば大目に見てもらえるのか」と不満に思うのは間違いないでしょう。

音楽界の大御所こそスパルタ式ではない指導を世界に示してほしい

もっと言うならば、子供に限らず、大人の世界でも、例えば職場や取引先、あるいは友人関係や夫婦関係などにおいても、腹の立つことや理不尽なことがあったりして、口論だけにとどまらず、相手を殴ってしまいたいと思うような場面に遭遇することもあります。でも、多くの人は暴力に訴えることはせず、そこをグッと堪えているのです。

日野皓正は世界的ジャズトランペット奏者として、音楽に対するこだわりは半端じゃないはずです。だからこそ、今回の中学生ドラム奏者の行為が気に入らなかったのだと思います。でも、やはり暴力に訴えるのはダメです。日野皓正のような音楽界の大御所こそ、手をあげて殴るようなスパルタ式ではない指導を、模範ケースとして世界に示してもらいたいと思います。

そして、まずは、世田谷区教育委員会や保坂展人世田谷区長は、日野皓正に対して「厳重な抗議」をするとともに、被害生徒に対する真摯な謝罪を要求すべきです。

その上で、やはり生徒に対しても、今回の行為の何が問題だったのかを考え反省させる(恐らく本人は反骨精神のようなものが発露したのでしょうから、問題行為だと分かってやってるのだと思いますが)という、暴力ではない対話による指導を模索していくべきだと思います。それに取り組んでこそ、生徒や父兄、先生やミュージシャンらによるコラボレーションイベントに教育としての意義を見い出せると思います。

教師による体罰の今昔から 先生と生徒と保護者の関係を考えてみる

 

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