扇沢~黒部ダムを走る関電トロリーバスが廃止され蓄電池バスに転換

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北アルプス立山連峰の山岳景勝地をつなぐ立山黒部アルペンルート。1971年に山岳道路を走るバスやケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継ぐルートとして全線開通しました。これにより、かつては陸路だと近づくことすら容易でなかった立山連峰の勇壮な自然を、比較的手軽に満喫することができるようになりました(※手軽とはいえ、ある程度の準備は必要です)。

関電トンネルの工事は「破砕帯」に悪戦苦闘し殉職者も

そのルートの一部を構成しているのが、「関電トンネル」です。関電トンネルは、関西電力が黒部川水系にダムおよび水力発電所を建設するための資材運搬路として掘削したものです。

このトンネル工事をめぐっては、軟弱かつ大量に地下水を含んだ破砕帯と呼ばれる区間に悪戦苦闘し、殉職者も出るなどし工事は難航を極めました(黒部ダム工事全体では171名が殉職)。その難易度たるや凄まじく、破砕帯から噴出する水は毎秒660リットルという膨大なものでした。薬剤を注入し固めながら掘り進めるという手法を用いつつ、80メートルの破砕帯を掘り進めるのに7カ月もの期間を要したほどです。

関電トンネルの開通によって、これまで急峻な地形ゆえに徒歩やヘリコプターなどで細々と進めていた資材運搬が一気に加速化することができ、黒部ダムの工事の進捗に大きな影響を与えたとされています。この難工事は、映画「黒部の太陽」や、ドキュメンタリー番組「プロジェクトX」で取り上げられるなどし、大きな話題を呼びました。

 

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関電トンネルにトロリーバスが昭和39年から運行

その関電トンネルには、自然豊かな環境に配慮し、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンを動力に用いるのではなく、電気とモーターを用いるバスが1964年8月から走っています。扇沢駅(長野県大町市)~黒部ダム駅(富山県立山町)の6.1kmを結ぶ「関電トンネルトロリーバス」です。トロリーとは、電力を流す架線のことで、バスの天井から伸びた集電装置が架線に接触することで、電力を得るものです。トロリーバスは法的には無軌条電車(レールの無い電車)という位置づけのため、鉄道事業として運行されています。また、正式には「関電トンネル無軌条電車」という名称です。現在は1993年にデビューした300形と呼ばれる、VVVFインバーター制御装置を搭載したトロリーバスが15台使用されています。

画像出典:Wikipedia(著作者:Qurren氏)

私は若かりし頃に修学旅行で黒部ダム(通称黒四ダム)に行きましたが、その際にトロリーバスで黒部トンネルを通りました。途中、破砕帯の案内標識があったのを今でも覚えています。

下記の写真はコンパクトカメラ(当時はフィルムカメラ)で撮った写真をスキャナーで読み取ったものです。ちなみに、写真は手動巻き上げで連続撮影したものですが、手振れ&ピンボケが凄いです。「なぜ縦向きで撮ったんだろう?」と一瞬思いましたが、「あ~そうだ!」と思い出したことがあります(ヒント:72枚撮り)。分かりますかね~(^^)/

 

そして昭和39年から長きにわたり、立山黒部アルペンルートの輸送を担ってきたトロリーバスが、開業から55年目となる2019年4月に、蓄電池方式のバスに置き換えられることが決まりました。

関電トンネルにおけるトロリーバスの電気バスへの変更について

 

当社は、昭和39年8月1日より、関電トンネルにおいてトロリーバス事業を行ってまいりましたが、平成31年4月の営業開始以降は、トロリーバス全車両15台を電気バスに変更することとし、本日、これに伴う関電トンネルトロリーバス事業にかかる鉄道事業廃止の届出を北陸信越運輸局に行いました。
 現在運行している車両は、平成5年から平成8年にかけて導入したものであり、今後、新たな車両に更新するにあたり、運行ルートが中部山岳国立公園内であることから環境性を考慮するとともに、運行にかかる経済性等も踏まえ、トロリーバスから電気バスに変更することとしたものです。
 なお、これまで、関電トンネルトロリーバスは「トロバス」の愛称で親しまれ、累計6000万人以上のお客さまにご乗車いただいてまいりました。平成30年は「トロバス」にご乗車いただける最後の年となりますので、「トロバスラストイヤーキャンペーン(仮称)」として、各種イベント等を実施してまいります。
 当社は、電気バスへの変更後も、引き続きお客さまから親しんでいただけるよう努めながら、安全で快適な運行を行ってまいります。

出典:関西電力

http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0828_2j.html

出典:関西電力

このリリースによると、「トロリーバス15台を電気バスに変更する」とのことです。「電気バス」と聞くと、「これまでのトロリーバスも電気バスだよね~」と思いましたので、当ブログではあえて「蓄電池バス」あるいは「蓄電池方式のバス」と表記しています。

蓄電池方式のバスは、これまでのトロリーポールの代わりに車載パンタグラフを設置し、超急速充電によって電力を車載バッテリーに蓄えます。充電の際は、専用の充電スペースに停車し、高所に設置された電力供給端子にパンタグラフを接触させることで、充電するようになっている模様です。

なお、トロリーバスから蓄電池方式のバスに転換するにあたり、これまでのトロリー(無軌条電車)方式ではなくなることから、鉄道事業の廃止の届出を北陸信越運輸局におこなったということです。

トロリーバスは、架線設備のメンテナンスが大変ですし、技術の進歩によって大容量バッテリーの小型化や高性能化が著しい昨今ですから、トロリーバスが蓄電池方式のバスに置き換えられるのは、もはや仕方のないことなのかもしれません。でも、やはり寂しい気がします。

蓄電池バスに置き換えられるのは2019年4月ですが、冬季運休があるため、関電トロリーバスに乗れるのは2019年11月末までとなります。ぜひ、廃止される前に、もう一度トロリーバスに乗っておきたいと思います。

 

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