【傍聴記】引越社関東副社長への裁判官の証人尋問がまるで「説諭」

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引越社関東の従業員男性が、営業職に従事中の交通事故や遅刻等を理由に、アポイント部やシュレッダー係に配置転換された件。現在、この従業員男性は引越社関東を相手取り、シュレッダー係への配置転換の無効を求める地位確認や損害賠償を求め提訴しています。

引越社関東といえば、同社の井ノ口副社長らが威圧的な口調ですごむYouTube動画が社会に広く知られることとなったのは記憶に新しいところです。

また、社内に「罪状」などと書かれた、従業員男性の顔写真入りの紙を張られていたことなども発覚し、これまでのまじめでさわやかな会社イメージとのギャップの大きさに衝撃を受けた人も多いと思います。

霞が関の東京地裁

このブログ記事を書いている私も、かつて引っ越しの際に引越社さんに2度依頼し、極めて素晴らしい丁寧かつスピーディーな仕事ぶりと、とてもリーズナブルな料金にいたく感動したものです。ですので、この従業員男性への姿勢や、あの怖い動画によって、まさかその引越社が…という落差を感じざるを得ません。

 

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「懲罰的な人事のように見える」

さて、2017年2月9日に、東京地裁709号法廷において地位確認訴訟の証人尋問がおこなわれました。この中で、井ノ口副社長を証人尋問した裁判官が、副社長の姿勢に疑問を呈する場面がありました。生で傍聴していて、まるで「説諭」しているかのように感じられました。そのやり取りの一部を記します(微妙な言い回しの違いや、かなり抜けている箇所もあるはずです。その点は割り引いてご覧ください)。

裁判官「今回の処分はかなり厳しいと思いますが」

副社長「過去の遅刻も頭に入れています。今回1ヶ月に2回遅刻しています。遅刻に対する言い訳もしています」

裁判官「あなたは『制裁ではない』と言うが、懲罰的な人事のように見える。そういう主旨はあるんですか?」

副社長「ありません」

裁判官「じゃあ何なんですか?」

副社長「お客様に迷惑がかかるので。ひとりで仕事ができ、お客様と接しない部門というところで、そうなりました」

「あなたが明日からシュレッダー係をしなさいと言われたら、どうですか?」

裁判官「あなたが明日からシュレッダー係をしなさいと言われたら、どうですか?」

副社長「・・・・」(※絶句状態)

裁判官「正社員で、そのような配転を受けた人はいないんでしょ?」

副社長「はい」

裁判官「私から見ると、これは制裁的に見えるんですが」

副社長「そういうつもりでは、やってません」

裁判官「これまでもう1年半たっている。いつまでこれを続けるんですか?」

副社長「営業復職の案も含め提案はしています」

「だって、シュレッダー係への配転は人事権でしょ?」

裁判官「このような配転命令はまずくないかとか、早く異動先を見つけたほうが良いのではとか、弁護士からアドバイスはないんですか?」

副社長「ですので、その提案を(原告側に)出しています」

裁判官「1年半何もやってないんですか?」

副社長「提案を出して回答をもらえずの状況が続いてます」

裁判官「提案する前に社内で決めないんですか?」

副社長「勝手に人事権で決めていいのであれば」

裁判官「だって、シュレッダー係への配転は人事権でしょ?」

副社長「はい」

 

最後に、裁判官から「これまでの1年半は戻ってこないが、このあたり(※会社として適切な異動先を考え、原告側に早期に提案)を弁護士と相談されてはどうか」との主旨のコメントがあり、裁判官から井ノ口副社長への証人尋問が終わりました。

 

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同じミスをして片や制裁で片や制裁ではない?

裁判官からの証人尋問に先立ち、原告弁護人から井ノ口副社長への証人尋問がおこなわれました。その中で原告弁護人は、副社長に対して、アポイント部門からシュレッダー係に配置転換したことについて、制裁的な意味合いの有無を問いました。それに対して、副社長は「制裁ではない」と否定しました。

続けて、原告弁護人は、過去にアポイント部において、原告の従業員男性とは別の従業員が1ヶ月に2回遅刻したことで降格処分になっている事例を紹介しました。そして、この降格処分に対しては「制裁です」と副社長は言うのですが、一方で、同じく1ヶ月に2回遅刻したことでシュレッダー係に配置転換させられた原告の従業員男性については「制裁ではない」と主張しました。同じミスをして片や制裁で片や制裁ではない点に違和感を覚えました。

週刊SPA!の記述の一部を否定

週刊SPA!の記事に「アリさんマークの引越社が社員Aをシュレッダー係にして精神的に追い込んだ行為は、『確かにやり過ぎた側面もある』と認める井ノ口氏」という記述がある点について、原告弁護人は「懲戒解雇で弁護人を精神的に追い込んだ側面があると認めるのか?」と井ノ口副社長に確認しました。これに対して、副社長は「精神的に追い込んだとは言ってないと思う」と否定。あわせて「週刊誌は長時間の取材の中で、誘導尋問の中の切り取りで作成されており、全てが私の言葉だとは思えない」と述べました。

長期間シュレッダー係を続けさせられている心労は想像を絶する

原告の従業員男性に対する証人尋問もおこなわれ、従業員男性は交通事故に至った理由のひとつとして、長時間の残業による心身の疲労を挙げました。また、シュレッダー係を1年半もの長期にわたって続けさせられていることに対する胸中を問われ、答弁中に感極まる場面も見られました。その際には、目頭を押さえる傍聴人の姿も複数ありました。私は今回の裁判を初めて傍聴しましたが、裁判官が被告である引越社側のこれまでの姿勢に対して厳しい目で見ていると感じましたし、それは傍聴席を埋めた41名の傍聴人の誰もがそのように感じたのではないかと思います。

私の受けた印象としては、原告・被告側双方の弁護人の態度にも、思うところがありました。具体的に言うと、被告側の弁護人席に3人並んだ内の中央の弁護人の座り方がふんぞり返るような姿勢だったのが印象的でした(両脇の弁護人や原告側の弁護人は普通でした)。もし被告側の関係者がこのブログ記事をご覧になられた場合には、「法廷内ではもっときちんと座ったほうが印象がいいですよ」とアドバイスされてはいかがでしょうか。

 

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