飲酒タクシー運転手を「私人逮捕」したものの「勇み足」だった話

スポンサーリンク


「私人逮捕」という言葉をご存知でしょうか? 聞きなれない人のほうが多いかと思います。実は、私は以前、タクシー運転手を「私人逮捕」したことがあります。

私人逮捕とは、犯罪行為が目の前でおこなわれているというときに、警察官ではない民間人が、その犯罪行為をおこなっている人物の身柄を取り押さえるなどして拘束する行為です。「常人逮捕」とも言います。その状態で、直ちに110番通報し、到着した警察官に身柄を引き渡すことになります。ただ、私がおこなった私人逮捕は、残念ながら「勇み足」でした。その背景や理由について記してみたいと思います。

スポンサーリンク

真っ昼間からビールを飲んで昼ご飯を食べるタクシー運転手

この出来事は数か月前にさかのぼります。ある飲食店で昼ご飯を食べた際に、店内でビールを飲みながら食事をしている男性(服装はワイシャツにベスト着用)がいました。私は、その男性がお店を出た後にタクシー運転席に乗り込むのを目撃しました。飲酒運転をこれから遂行する恐れがあると考えられることから、運転手がエンジンを掛けた時点でタクシー車外に連れ出し、腕をつかんだ状態で110番通報しました。

(写真と本文は関係ありません)

タクシー運転手は「駐車場で寝るつもりだった」と釈明

パトカーが来るまでの間に運転手を問い詰めると、「駐車場で寝るつもりだった」「本当だ、信じてくれ」と言っていました。ただ、タクシー運転手の言い分は不自然ですし問題があります。なぜならば、飲酒後にアルコールの影響や計測数値が問題ないレベルにまでにお酒が抜けるには、人によっても異なりますが、何時間も掛かるからです。タクシー運転手は、その飲食店の駐車場で例えば最低でも3時間とか5時間とか長時間にわたって寝るつもりだったのでしょうか。それを問うと、「ぐっすり寝るつもりだった」との返事。

それともう一点不自然な点があります。タクシーにはもちろん社名が書かれていますし、屋根の上には行燈(あんどん)が取り付けられていて、どこのタクシー会社か一目瞭然です。制服も着用しています。にもかかわらず、真っ昼間からビールを飲んで食事をし、会社名が記載されたタクシーに平然と乗り込む神経は普通ではありません。日頃から常習だったと考えるのが自然だと思います。ただ、これについても、「今回が初めてだ」と言い訳していました。

公道上での飲酒運転ではないため「未遂」として検挙されず

10~15分ほどしてお店にパトカーがやってきました。警察官は2名。タクシー運転手と私にそれぞれ1名ずつが付き、事情聴取がおこなわれました。その結果、タクシー運転手は、警察官からお灸は据えられたものの、検挙されることはありませんでした。

(写真と本文は関係ありません)

その理由は、「公道ではない駐車場内だった」ためです。すなわち飲酒運転は未遂だということです。飲酒運転には未遂罪は無いんですね。逆に言えば、タクシー運転手がエンジンをかけた後、お店から公道に出た時点で呼び止めて取り押さえていれば、罪に問うことができたということです。

この件、駆けつけた警察官は、「今回はかなりグレーですが、残念ながら検挙できないですね。ただ、飲酒運転は絶対にしないよう、しっかりとお灸を据えておきます」とおっしゃっていました。念のために運転手の了解を得てアルコール検査をしておくということで、警察官がアルコール検査キットをパトカーから取り出し、運転手が検査前の「うがい」を始めた時点で、私は飲食店の駐車場をあとにしました。

ちなみに警察官は、公道上での飲酒運転をさせないために、その飲食店に入っていき、「駐車場で仮眠してもらって構わない」という許可まで代わりに取っていました。本当に頭が下がります。

 

スポンサーリンク

 

この件はどうするのがベストだったのだろうか?

この件については、やはりタクシーが公道に出た時点で運転手を呼び止めれば良かったのでしょうか。確かに、法的にはそうなのかもしれません。でも、明らかにお酒を飲んだタクシー運転手が公道に出るのを放っておくのも、何か違うような気がします。駐車場を出てすぐに事故を起こさないとも限りません。ましてや、逃げようとして急発進して、私や周囲の人が轢かれてしまう恐れもあります。結果的にそれらを未然に防げたという点では、これで良かったのかもしれません。

その一方で、このようなタクシー運転手による職業倫理的にも疑問符のつく行為を検挙できなかったという点から言えば、もしかするとこの運転手が同じことを繰り返さないかという心配はあります。未だに私の中で、どうするのがベストだったのかという答えは見いだせていません。もし今後、同じようなケースに遭遇した際、自分はいったいどう対処するんだろうと考えると、それは私にも分かりません。今回のように即座に運転手を捕まえて問い詰めるのか、あるいは見て見ぬふりをするのか、公道に出てから取り押さえるのか、あるいは逆ギレした相手から逆襲を喰らってボコボコにされるのか…。できることなら、こんな下らないことを考えさせるような飲酒運転自体をしないでもらえれば一番いいのにと思う次第です。

なお、この「私人逮捕」は勇み足、もっと言うならば、罪に問える構成要件を満たしていない以上、このタクシー運転手に対する、事実誤認による人権侵害に該当する冤罪行為だったと言えなくもありません。そのため、いわゆる「カギカッコつき」の表記にした次第です。また、このタクシー運転手が検挙されていない以上、タクシー会社の社名や運転手の名前の公表、あるいは証拠写真の掲載等は控えることにします。

 

とりとめのない拙文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク